“バラ大国”フランス。亡き父から受け継いだバラ園を経営しているエヴは、新種のバラを開発しいくつもの賞に輝いてきた才能あるバラ育種家だ。けれど、数年前からは大企業ラマルゼル社に賞も顧客も奪われ、会社も倒産寸前。なんとか建て直しを図ろうと助手のヴェラのアドバイスにより、職業訓練所からの紹介でワケアリの3人を格安で雇う。前科者のフレッド、定職に付けないサミール、コミュ症のナデージュ。まったく素人の3人は失敗続きだが、新種のアイデアが閃いエヴは、交配に必要なバラがラマルゼル社にあることを知り、3人と共にある作戦に出る――。

 

『偉大なるマルグリット』や『大統領の料理人』などで知られるフランスの大女優カロリーヌ・フロの主演作『ローズメイカー 奇跡のバラ』は、小さなバラ園を舞台にした、ユーモラスでウィットに富んだフランス映画らしいヒューマンドラマだ。フロ演じる主人公エヴは、プライベートそっちのけで仕事に情熱を注ぐ、頑固者。そんな彼女がまったく住む世界が違う3人と出会ったことで、人生が好転していく。

世界最高峰のバラ・コンクールに挑むというメインストーリーの背景には、大企業に押し潰されていく個人経営の会社や相続問題、また、ワケありの人々の就業といった社会問題ネタがさりげなく描かれるが、“世界一美しいバラを作る”という、美しく夢のある世界を描きつつも、現実を投影した地に足の着いたドラマでもある。

もうひとりの主人公ともいえるバラの溢れる魅力を表現するために、本作にはフランス屈指のローズブランド、ドリュ社、メイアン社などのスペシャリストが監修として関わっている。映画中に登場する、希少なバラを生み出すための交配の過程や栽培法、そしてコンクールの様子などもすべて忠実に表現されているそう。バラ愛好家の方も必見。

 

『ローズメイカー 奇跡のバラ』
『ローズメイカー 奇跡のバラ』

●監督/ピエール・ピノー
●出演/カトリーヌ・フロ、メラン・オメルタ、ファツァー・ブヤメッドほか
●2020年、フランス映画
●配給/松竹
●5月28日より、全国にて公開(緊急事態宣言により一部休館中)
© 2020 ESTRELLA PRODUCTIONS – FRANCE 3 CINÉMA – AUVERGNE-RHÔNE-ALPES CINÉMA
https://movies.shochiku.co.jp/rosemaker

文:立田敦子