20世紀を代表するファッションデザイナーのひとりであるココ・シャネルは、その革新的な生き様によって、今日でも時代を超越したアイコンとして多くの女性たちにインスピレーションを与え続けている。
女性をコルセットから開放しただけでなく、ジャージーやツイードなど男性服の素材を用いたり、パンツスタイルやリトルブラックドレス、ツイードのスーツなど、機能性と美しさを兼ね備えたオリジナルなスタイルを次々に生み出し、現代的な女性たちのエレガンスの新機軸となった。そのスタイルは今も色褪せることはない。
シャネルの“革新性”にはその生い立ちが大きく影響している。12歳の時に母を亡くし、父にも捨てられたシャネルは、不運な運命と闘い、女性の地位がまだ低かった時代と闘い、またファッションデザイナーとして成功してからも、世論やメディア、そして時にはビジネス・パートナーとも闘いながら、茨の道を切り開いた。
『ココ・シャネル 時代と闘った女』は、そんな孤高のファッションデザイナーの生涯を誠実に描こうとした真摯なドキュメンタリーである。

「ココ・シャネル 時代と闘った女」
●監督/ジャン・ロリターノ
●出演/ココ・シャネル、フランソワーズ・サガンほか
●2019年、フランス映画
●配給/オンリー・ハーツ
●Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開
©️ Slow Production, ARTE France
http://cocochanel.movie.onlyhearts.co.jp
文:立田敦子